FX取引などの金融商品

30代では、手持ちの資金にも余裕が出てくるため投資を考える人が増えていきます。そこで罠となりやすいのがFXや電子通貨です。これらは法律的にも問題のない投資ですが、特にFXはギャンブルと似たような性質があります。これらの金融商品に手を出した結果、取り返しのつかない金額の借金をものの数年で背負ってしまった、というケースは後を絶ちません。30代ともなると結婚している人口も増えていきますが、家族や配偶者がいると借金を解決するのがある意味でより難しくなります。

お互いが合意の上で借金し、金額や利息をいつも把握しているような夫婦は少ないものです。特に、FXなど一般人にはよく分からない分野に手を出す場合、家族や配偶者には秘密で借金に手を出し、クレジットカードが利用できなくて借金がばれた頃にはとても返済できる額ではなかった、ということも珍しくありません。保証人になっていなければ、たとえ家族の借金でも背負う必要はありませんが、それでも生活に何の影響も出ないはずはありません。30代では、資産形成のために良かれと思ってやった投資や借金が、家族に悲惨な影響を与えることがあります。ギャンブルで作った借金も、30代では破滅的な結果になることがあります。

20代の頃は、何とか働いて稼いだ給料でギリギリ生活できたり、他者から借り入れて自転車操業することで体面上は成り立っていたことも、30代では借金でどうにも身動きが取れなくなったりします。

自己破産の免責が受けられない?

いよいよ自己破産も考え始めた時に、ギャンブルでは自己破産における免責が許可されないことに気づくと悲惨です。自己破産では、自分の財産を返済に充てる代わりに借金が帳消しになるため、究極的な債務整理ができます。家も車も貯蓄も処分しなければなりませんが、借金から解放される手段です。しかし、ギャンブルは自己破産しても借金を帳消しに出来ない理由となり得ます。ギャンブルだけでなく、株投資やFX取引などもこれに当てはまりますが、採取手段であるはずの債務整理すら上手くいかない可能性があるため、非常に危険な借金を作ったことになります。

例外的に、「裁量免責」という裁判官の判断で免責許可を与える制度があるため、何の手段も残っていないわけではありませんが、それが無事適用されたとしても決して楽な生活が待っている訳ではありません。裁判所に納付するべき金額が増えたり、借金の内容が精査される段階でウソがばれると、詐欺破産罪など有罪判決が下る恐れもあります。自己破産には、職業制限というリスクもあります。職業制限では、自己破産した人を一定の仕事や役職に就くことを禁じます。破産したということは、ある程度の社会的な信頼を失ったとみなすようで、警備員やアルコール販売業、税理士や弁護士といった職業には就けなくなります。自己破産手続きが終了すれば制限解除されますが、現在そのような職業で従事している方は注意が必要です。

理由のある借金も

逆に、30代でも許される借金について考えてみましょう。語弊があるかもしれませんが、やむを得ず借り入れる場合はある意味で許される借金です。例えば、結婚して家庭が出来て購入を考える住宅ローン、同じ理由で車のローン、あるいは奨学金の返済などがそれに当たるでしょう。30代で現金一括で住宅を購入できる人は非常に限られており、住宅ローンを組むのが一般的です。車もローンを組んで購入することが多く、それは人生の汚点になる借金というより、人生の節目にある一つの出来事という位置づけでしょう。奨学金の返済が30代になっても続くこともあるかもしれません。奨学金も借金の一つですが、30代になったとしても毎月一定額を返済出来ているのであれば立派です。

このような借金であればリスクが少なく、かつ借り入れた理由にも納得できますが、ギャンブルや買い物、FX取引といった嗜好性や不必要な出費による借り入れには十分注意しましょう。