20代での借金
奨学金もクレジットカードのキャッシングもカードローンも、すべて借金です。20代は経験が浅く、お金の計画的な使い方を知らないことが多いため、気軽に借りているとあっという間に借金が膨らんでしまうことがあります。20代で借りるための条件を詳細に解説したり、20代でも貸してくれるところを一覧にするようなウェブサイトがたくさん見受けられますが、やはり借りることそのもののリスクを無視するわけにはいきません。
自分の収入の範囲内でやり繰りできるのであれば、借金は恐れるに足りません。いずれは返すことが可能で、短期で返済が済めば支払う利子の金額も少なくて済むからです。しかし、奨学金にせよキャッシングにせよ、返せない借金を背負ったり、よそから借金してそれを最初の債務先へ返済するようなことになれば、宝くじでも当たらない限り破産への道を着実に歩んでいることになります。
奨学金についても考えてみましょう。奨学金は、「学ぶ意欲と能力があるにも関わらず、経済的理由で修学できない学生を支援する」制度です。つまり、経済的な問題さえなければより教育を受けられる、という学生のための制度であり、決して「とりあえず大学に行くための自由に使えるお金」ではありません。この理由を見失うと、奨学金のせいで人生が破綻することにもなりかねず、2018年に奨学金制度を運営する日本学生支援機構が明らかにしたところによると、過去5年で何と約1万5千人以上の実際に自己破産したケースが報告されています。
奨学金の種類
奨学金には、返さなくていい給付型と返済義務の生じる貸与型、さらに利息なしで借りられる第一種と、利息が発生する第二種があります。誰もが給付型の奨学金を受けたいところですが、当然そのハードルは高くなり、自分でコントロールできないところもあります。成績が優秀であれば奨学金は受けやすくなりますが、給付型ではより家計が苦しい方が優先されるため、日本の学生の多くは貸与型を利用しています。
利息の有無に関しても、利息が発生しない第一種を利用しているのは全体の約3割で、7割は利息が発生する第二種を利用しています。これには、第一種と第二種の両方を利用している学生も含まれるため、ざっと見積もって第二種を利用する8割の学生は、第二種のみの奨学金を利用していると見られています。
借りるときから返済のプランもイメージする
キャッシングを利用するにしても奨学金を利用するにしても、法的な拘束力を持つ契約により、返済義務が生じます。借りるときは全く意識しないのに、返す際には非常に重くのしかかるのがこの返済という行為です。毎月一定額を必ず返済しなければならず、遅れるとその分の延滞料金も発生します。返済期間の延長を申請することもできますが、返済義務は引き続き発生します。奨学金の返済に10年以上かかるのも決して珍しくなく、卒業後はとにかく仕事を続けて収入を安定させなければ返済が苦しくなる、という事実にも目を向けるべきです。返済によその消費者金融やカードローンから借りたお金で返すようになれば、その先の破産は目に見えていると言っても過言ではありません。
奨学金の返済の催促はそれほど目立った仕方では来ないこともあり、気が付くと1,000万円級の借金になっていた、というケースもあります。奨学金もカードローンもキャッシングも借金であり、返せるめどがなければ20代で自己破産もあり得ることを覚えておきましょう。もし、これらの借金を背負わずに生きていける方法があればそれが最善であり、どうしても借り入れなければならない場合は、その後返済までしっかりと働いていく覚悟が必要です。
キャッシングは気軽な気持ちで行えますが、決して自分のお金をATMから引き出しているような感覚にならないように気を付けましょう。