老後まで引きずりかねない借金

アラフィフ世代で借金を背負うことに対するリスクは、「老後までに返せるかどうかが分からない」ことでしょう。住宅ローンや自動車ローンを組むこと、生活費の足しにカードローンで現金を手に入れること、ショッピングや突然の出費に困って消費者金融で借り入れることなど、借金する理由は様々です。

しかし、借り入れ額が膨らんでいってしまうと、初めに借りた金額よりもはるかに大きな額を返済しなければならないことも、想像以上に簡単に起こり得ます。当然のことですが、毎月の支払いが滞っていなくても借金が減らない場合、60~70代になっても借金が残っているかもしれません。「毎月の支払いはきちんとしているし、延滞したことは一度もないのになぜ?」と思うかもしれませんが、それは隠れた罠にはまっているからです。

元金を返済しているか

アラフィフ世代ともなると、収入が安定していることがほとんどです。そうなると、住宅ローンやカードローンでそれなりの金額を使っていても、利息と元金を合わせた毎月の返済額を安定して支払いてしまうかもしれません。しかし、明細をよく見ていなかったために借り入れ総額が減っていなかったり、予想よりもはるかに多かったりすることがあります。月収40万円以上を稼いでいても、老後までに返済が追い付かないことがあるのです。それは、借金を返すスピードに問題があります。

ご存知のように、借金には利息が発生します。あらゆるローンや借り入れは、元金の返済と共に利息を徴収することで利益を出しています。この利息は、返済にかかる時間が長くなればなるほど高額になります。あらゆる金融機関で借り入れすると、最初に毎月の一定の支払額を提示されます。この最初に提示された支払い額は、利息分を上回るギリギリの金額に設定されていることがほとんどです。2~3回の返済回数で返そうと心に決めているのであればともかく、借り入れ金額が少なかったりすると、「毎月の家計にも影響しないし、このままでいいか」と思って放置してしまうものです。

しかし、実際は元金がほとんど減っていっておらず、定期的にカードローンやキャッシングを利用していると、元金は何百万位も膨れ上がっていた、というケースは決して珍しくありません。元金をしっかりと返済していない以上、借金がなくなることはありません。利息や最低限の毎月の分割金を支払っていれば、催促が来ることはありませんが、それが元金も返せていると思い込んでしまうリスクを発生させます。

今のうちに「退職までの収支計算」を

さて、借金しないあるいは借金を返済する唯一最大のコツは、「収入を増やし出費を減らす」ことです。これ以上に効率的な方法やそれなら選択肢はないと考えてください。45歳以降のアラフィフになると、定年までの収支をアルテイル先読みしなければなりません。仮に、60歳までの残り15年をしっかりと働けるとしても、その15年間で貯められる金額+現在の資産額が、その15年間の支出を上回らなければなりません。子供がいれば進学費用を含めた養育費、そして住宅ローン残高が主な出費になるでしょう。

毎月しっかりと貯金するよう意識しているはずなのに、机上の計算でさえ思いのほか老後に残さないことが分かると、ショックを受けるかもしれません。その計算の差し引きがマイナス1,000万円を超えていれば、よほどの大企業で役職についていない限り、退職金をあてにするのも難しくなってきます。この15年間の収入と支出の計算を今から行なっておき、危機管理意識を身につけておきましょう。計算結果にショックを受けるのもある意味で良いことです。その15年間を、老後までの資金対策と老後からの資金対策に使うことができれば、たとえすでにアラフィフと呼ばれる世代になってしまっていても、非常に有意義になるでしょう。